話題の本です。
今見たらアマゾンで「ベストセラー」となっていた。
気が重くて,買ったもののなかなか読めなかったのですが,いざ読み始めたら文章がきっぱりさっぱりしていて,内容も非常に興味深くてすいすい読めます。
これで思い出したのは,今から20数年前。
法学部で「強姦罪」の勉強をしたときのこと。条文の並びに衝撃を受けました。
刑法
第二十一章 虚偽告訴の罪
第二十二章 わいせつ,姦淫,及び重婚の罪
第二十三章 賭博及び富くじに関する罪
この二十二章というところに,強姦罪は重婚罪などと一緒に規定されています。現在もそうです。
何かっていうと,刑法制定当時は,強姦は賭博とか公然わいせつとか重婚とかと同様に「社会的法益に対する罪である」,つまり,社会秩序に反しているから罰せられる,と考えられていたのでした。
要は,「公衆の面前で脱いじゃった」のとカテゴリーは同じ,ということです。
対して,殺人や強盗などは,「個人的法益に対する罪」すなわち個人を守るためのものである,と考えられています。
現在では,さすがに,強制わいせつや,強姦(注:改正により「性交等強制罪」)は,殺人などと同じく,個人を守るための罪であると理解されています。
が,そもそも日本という国が「強姦罪はけしからんから罰してやろう」と考えたのは,「社会の秩序を乱す」からなんです。被害者を守るためじゃない。条文の順番を見ると分かる。
そこから発想が始まっているから,いまだにいろいろとおかしくて,強姦されそうになったら女性は必至で抵抗しろとか,抵抗しなかったから合意があったんじゃないか,とか,酒飲んでホテルについてきたから合意ありだろとか,まあいろいろな呆れるような言説が司法の現場でもまかり通るわけですね。
あたまくるわー。
そうやって腹を立てたのが今から20数年前。この本を読むと,そこから状況はほとんど変わっていないことが分かります。
実はまだ全部読んでないので今回はここまで。